Dev:JA/Ref/Release Notes/2.79/Cycles

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Blender 2.79: Cycles

Denoising(デノイズ)

Donising(デノイズ)はディテールをできるだけ保ちつつノイズを除去するために、レンダリング中に集められた(特徴パスとして知られる)情報を使用して結果の画像をフィルタリングします。(43b374e)

このオプションを使用するには、Properties Editor(プロパティエディター)の Render Layer タブ→▼Denoising をONにします。レンダリング時、タイル毎に周囲の全タイルがレンダリング完了するとノイズ除去を行います。デフォルト設定で広範囲のシーンに適するようになっていますが、ユーザーはノイズのない画像と画像のディテール、計算時間のそれぞれをトレードオフにして、各設定を調整することができます。

  • Radius(半径): 1つのピクセルに使用される画像領域のサイズ。大きい値でスムーズになりますが、ディテールが失われ遅くなります。
  • Strength(強さ): 隣接するピクセルがノイズ除去に使用されなくなる前に、その周囲の領域と中央のピクセルとで比較する差異の量をコントロールします。小さな値でディテールが増えますが、スムーズになりません。小さな値でディテールが増えますが、スムーズになりません。
  • Feature Strength(特徴の強さ): 実際にノイズ除去を始める前に、ノイズが多く不必要な画像特徴パスの削除をコントロールします。

これは DoF やモーションブラーのようないくつかのケースにおいて、斑点がでるのを防ぐのに必要です。ただしテクスチャに品質や形状のディテールが失われる可能性があります。小さな値でディテールを維持しますが、スムーズになりません。

  • Relative Filter:(相対フィルター) 情報を運ばない特徴を削除する際、その特徴の情報量の総計を元にして保持するかどうかを決めます。これはアーティファクト削減の助けになりますが、端の部分のディテールが消失する可能性があります。
デノイズ前

注意と問題点

このデノイザーは将来的に変更される予定で、いくつかの機能は未実装です。デノイズがいい結果の生成に失敗した場合、大抵はサンプル数を増やすか、Clamp(制限)でその問題が解決するでしょう。

  • 一般的に Radius(半径)設定をあまり大きくすることは望ましくありません。よりスムーズな結果になるものの、デノイズ時間は大幅に増え、レンダラ由来以外の追加情報が何もないため、あまり精度は上がりません。15より上では、追加のレンダリング時間の方がサンプル数増加によって費やされる時間より多いと思われます。
  • まだデノイズをベイクに使用することはできません。将来的に追加される可能性はありますが、2.79には入りません。
  • アニメーションにデノイズは利用可能ですが、依然いい結果を得るには高いサンプル数が必要です。サンプル数が低いと、低周波数の(ぼやけた)ノイズが静止画にはすぐに現れていなくても、アニメーションには現れる可能性があります。フリッカーフリーでスムーズな結果を生成する、クロスフレームのデノイズは未来のリリースに計画されています。
  • GPU レンダリング使用時、デノイズのプロセスで大量にVRAMを使用する可能性があります。もし GPU がメモリ不足になっても、デノイズなしのレンダリングで問題がない場合、タイルサイズを減らしてみてください。

また、タイル順序を Left To Right(左から右)または Right To Left(右から左)にするとメモリ内のタイル保持数が減るため、役に立つことがあるかもしれません。

OpenCL

以前のリリースとの OpenCL レンダリング時間の比較
  • 利用可能なメモリを埋めるために演算デバイスが一度に行う作業量が、自動的にタイルサイズとは独立して計算されるようになりました。
    これにより、シーン毎にタイルサイズやシステム設定を調整しなくても、いくつかのケースではレンダリング時間が最大50%短縮します。(230c00d)
  • レンダリング中にタイルの更新が見てわかるように。(230c00d)
  • 少ないサンプル数で特に見られるシェーディングのアーティファクトを修正。(223f458)
  • ハングやクラッシュの最も一般的なケースを修正。(365a423)
  • SSSとボリュームレンダリングに対応。(57e2662)
  • 半透明の影の最適化。(e8b5a5b)
  • AMD GCN 1.0アーキテクチャ用ドライバによる様々な問題により、Cycles レンダーではこれらのカードはもう対応を中止しました。(1f0998b)


GPU レンダリングテスト

下図は公式ベンチマークファイルによる時間のテストです。Blender Institute のリファレンスシステムを使用。AMD と nVidia GPU のパフォーマンスが肩を並べるぐらいになりました。

OpenCL と CUDA による2.79でのレンダリング時間

OpenCL と CUDA による2.79でのレンダリング時間

Shadow Catcher(シャドウキャッチャー)

Cycles がシャドウキャッチャーに対応しました。d14e396 この機能は CGI の要素を現実の映像に簡単に合成できるようにします。シーン内のどのオブジェクトもシャドウキャッチャーにでき、下図の Object(オブジェクト)プロパティの ▼Cycles Settings(Cycles設定)の Shadow Catcher(シャドウキャッチャー)オプションにてコントロールできます。

このオプションは他の画像上にアルファオーバーできるように、影のみを受け取るオブジェクトを作成します。

シャドウキャッチャーオブジェクトは、他の CG オブジェクトと間接光によって相互作用することに注意してください。例えば、シャドウキャッチャーは光沢のある表面に反射します。

シャドウキャッチャー例
シャドウキャッチャーオプション

Principled BSDF(プリンシプルBSDF)

Principled BSDF(プリンシプルBSDF)は新しいサーフェスシェーダーノードで、複数のレイヤーを一つの簡単に使用できるノードに組み合わせています。"PBR" シェーダーとしても知られる Disney principled モデルを元にしており、Substance Painter や Unreal Engine、Pixar の Renderman などの他のソフトウェアと互換性を持たせています。Substance Painter などのソフトウェアでペイントまたはベイクした画像テクスチャは、直接このシェーダー内の対応するパラメーターに結びつけることができるでしょう。

Substance Painter とテクスチャの互換性があります(レンダリング画像はJulian Perez氏によるもの)

様々な広範囲の素材を作成するため、このシェーダーには複数のレイヤーが含まれています。ベースレイヤーではディフューズ、メタル、サブサーフェススキャッタリング、透過のミックスをユーザーがコントロールします。その上にはスペキュラーレイヤー、シーンレイヤー、クリアーコートレイヤーがあります。これらは以下のパラメーターでコントロールします。

  • Base Color(ベースカラー): ディフューズまたはメタルサーフェスカラー。
  • Subsurface(サブサーフェス): ディフューズとサブサーフェススキャッタリングをミックスします。
  • Subsurface Radius(サブサーフェス範囲): R、G、B チャンネルの平均スキャッタリング距離。
  • Subsurface Color(サブサーフェス色): サブサーフェススキャッタリングのベースカラー。
  • Metallic(メタリック): ダイエレクトリック(ディフューズとスペキュラー)とメタリック(複雑なフレネルの完全なスペキュラー)をミックスします。
  • Specular(スペキュラー): スペキュラー反射の量。
  • Specular Tint(スペキュラーチント): 、スペキュラー反射用に白(典型的なダイエレクトリックサーフェス)とベースカラーを使用してミックスします。
  • Roughness(粗さ): 完全にシャープな反射(0.0)からほぼディフューズ(1.0)までのスペキュラー反射の粗さ。
  • Anisotropic(異方性): スペキュラー反射の異方性の量。
  • Anisotropic Rotation(異方性の回転): 異方性反射の回転。
  • Sheen(シーン): 端の周辺のソフトなベルベットのような反射の量。布などの材質のシミュレート用。
  • Sheen Tint(シーンチント): シーン反射用に白とベースカラーを使用してミックスします。
  • Clearcoat(クリアコート): 他のレイヤーの上の、追加の白いスペキュラーレイヤー。
  • Clearcoat Roughness(クリアコート粗さ): クリアコートスペキュラーの粗さ。0 で完全にシャープな反射、1 でほぼディフューズ。
  • IOR: 透過用の屈折率。
  • Transmission(透過): 0 で完全に不透明、1 で完全にガラスのような透明。
  • Normal(ノーマル)Clearcoat Normal(クリアコート法線)Tangent(タンジェント): そのレイヤーの法線とタンジェントをコントロールします。
Principled(プリンシプル)BSDF パラメーター

このシェーダーは Adidas の支援を受け開発されました。

Filmic カラーマネージメント

もっとリアルな成果とハイダイナミックレンジ処理の改善のため、新しく Filmic ビュー変換が追加されました。見た目を Filmic ビュー変換用に変更することで、コントラストを調整できます。さらに新しい False Color ビュー変換で画像の輝度のヒートマップを表示し、ダイナミックレンジを視覚化できます。

デフォルトの sRGB と Filmic との比較 (The Pixelary によるデモ)

オリジナルをデフォルトの sRGB ビュー変換で作成したライティングとマテリアルは調整する必要があるでしょう。一般的に、ビュー変換はプロジェクト開始時に選択し、そのアセットの作業中の表示に使用すべきです。

詳細はオリジナルの Filmic Blender Configuration(英文) を見てください。これは今もビルトインの Blender コンフィグレーションの代替として利用可能です。

最適化

  • シェーダーノードコンパイルのマルチスレッド化。(0de69e56b4)

その他の機能

テクスチャスポットライトによる水のコースティクス
  • パノラマカメラがクリッピング開始位置を使用するように。(7fec7eee2070)
  • ライトサンプリングのしきい値。(26bf230)
  • Brick(レンガ)テクスチャのスムージング。(b2974d7)
  • Lamp(ランプ)、Spot(スポット)、Area(エリア)ランプ用テクスチャ座標。(1272ee4)
  • カメラとの距離によるカリング(Use Distance Cull)。単独使用した場合、カメラから与えられた距離より遠いオブジェクトはすべてカリングされます(レンダリングされません)。カメラ錐体カリング(Use Camera Cull)と組み合わせて使用した場合、カメラ錐体の外側にあっても、反射に写り込む近隣のオブジェクトをカリングしてしまうのを防ぐのに使用できます。(e8641d44740e)
  • 複数の GPU でレンダリングする場合の、使用 GPU デバイスの個別選択。Blender 2.78c にもあります。(dd92123)