Dev:JA/Ref/Release Notes/2.67/Motion Tracker
目次
Blender 2.67: モーショントラッカー
ドープシート(Dopesheet)ビュー
ドープシート(Dopesheet)ビューにインターフェイスのささやかな改良が行われ、1フレーム内のトラック数によって背景を強調表示するようになりました(r54750)。もし1フレーム中(または連続するフレーム)に8トラック未満しかない場合、背景が赤くなり、8から16トラックでは背景は黄色になります。
これは単なる視覚的フィードバックで、8トラック未満ではカメラモーションが再構築されないという意味ではありません。単にユーザーがこれらのフレームに注意を払い、いい特徴点がトラッキングされる全ての可能性をチェックすべきだという意味です。
もしそのフレームにいい特徴点がなく、16トラック足らずの場合でも、そのソリューションが正確ではないという意味ではないということを念頭においてください。むしろトラックを妙な特徴点に追加してしまうとソリューションの精度が下がります。
バンドル調整(Bundle Adjustment)
バンドル調整(Bundle Adjustment、3Dマーカーとカメラ位置に影響する再投影エラーを最小化することでソリューションを改善する、カメラモーション解決のステップ)が、Ceres non-linear least square minimizer(ノンリニア最小二乗法最小化?)ライブラリを使用して一から書き直されました(r54859)。
より正確になったと見なされ、アーティストにとっては以前のバージョンに比べ、再投影エラーが小さくなるであろうことを意味します。
これにより、以下のような機能がさらに実装可能になりました。
- 焦点距離に影響しない、放射歪み係数の絞り込み(Refine)(r54881)
- 三脚(Tripod)カメラモーションの絞り込み(r54932)
三脚ソルバー(Tripod Solver)
三脚ソルバー(Tripod Solver)も Ceres ライブラリを使用し一から書き直されました。(r54932).
Ceres ライブラリとバンドル調整ステップの使用により、キャリブレーション済カメラショットでの三脚ソルバーの精度が大幅に向上しました。未キャリブレーションのカメラショット(歪み係数または焦点距離が正確にわかっていない場合)では、カメラ固有値(Camera Intrinsics)の絞り込み(Refine)が可能になりました。
これは特別な種類のカメラソルバーであり、通常のソルバーとは挙動が異なることに注意してください。つまり、より多くのトラックを使用しても、ソリューションの精度が上がるとは限らないということです。一般的にこの種のソルバーの使用では、1フレーム中のトラック数は5から10程度が好ましいでしょう。
プロキシ(Proxies)
プロキシ(Proxies)がマルチスレッドでフレームを準備するようになり、マルチコアシステムでは速度が向上します(r55302、r55311)。
フレーム計算のみスレッド化されていることに注意してください。ディスクへのファイル書き込みはまだシングルスレッドであり、マルチスレッドではないため、プロキシの構築は今も HDD の処理能力の制限を受けます。
プリフェッチ(Prefetching)
マルチスレッド化されたフレームのプリフェッチ(Prefetching)がムービークリップエディターに実装されました(r55448、r55459、r55773)。
実際には、これは動画プレイヤーフレンドリーな真のプリフェッチではありません(訳注:再生中に勝手にプリフェッチしてくれるわけではないということ)。これはPで呼び出されるオペレーターの一つで、キャッシュをフレームで満たすだけです。キャッシュに入るだけのフレームがディスクから読み込まれます。
これにより、トラックなどが本当に必要な時に、キャッシュをできるだけ早く満たすことができるようになりました。ただしクリップエディターが開いていても、実際に操作しないと CPU と HDD が遊んでいるだけになります。
小さな機能
- モーショントラッキングドープシート用の全てを表示(View All)オペレーター(r55052)
- コンポジターのムービークリップ(Movie Clip)入力ノードにアルファ出力ソケットを追加(r55402)
- アルファ付のフッテージ用に、クリップエディターにチェックの背景を使用(r55404)
- 動画クリップ切り替え時にキャッシュが解放されるようになり、全 RAM が現在作業中のクリップ用に使用可能になりました。(r55774)
- トラック済セグメントの最初と最後へのジャンプがマスク編集モードでも動作するように。(r55785)
- クリップ間切替、またはプロキシレンダーサイズの変更時、以前の設定を使用してキャッシュが解放され、新しい設定用にメモリを確保します。
修正
- マルチレイヤ EXR 画像を開いた時のメモリリークを修正しました(r54934)。この手の画像は実際にはクリップエディターでは動作しないのですが、少なくともコンピュータのメモリを食うことはなくなるでしょう。
- いくつかのトラッカーでのサブピクセルの精度を修正(r55028)
- オブジェクトの切り替え/削除時のドープシートのリフレッシュ(r55079)
- 2Dスタビライゼーション(2D stabilization)がしばらく壊れており、回転がない場合に最近傍補間が使用され、さらに、再描画毎の再生成に安定画像バッファが使用されていました。この挙動が修正されました。追加として、安定フレーム計算がスレッド化されました(r55901)