Dev:JA/Ref/Release Notes/2.64/Motion Tracker

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Blender 2.64: モーショントラッカー

ドープシートビュー(Dopesheet View)

ムービークリップエディター内のドープシートビュー

モーショントラッキングデータ用のドープシートビューが追加され、カーブビューのように、ムービークリップエディターの別のビューとして実装されました。(r46123)

これにいい方法で対応するのに、特定のビューをムービークリップエディターの領域全体で開くモード間の切り替えができるように、クリップエディターのビュー切替の挙動を変更しました。よって、カーブもしくはドープシートビューを表示するには、エディターを二つに分離し、一つをカーブもしくはドープシートビューに切り替える必要があります。

より快適に作業できるようセットアップするため、新しいスクリーンレイアウト、"Motion Tracking" がデフォルト設定から利用できるようになりました。これには標準のムービークリップエディター、カーブとドープシートビューがすでに開かれており、すぐ使用できます。

使用方法

現在、ドープシートビューは表示用であり、実際にデータを編集するツールはなにもありません。これは選択中のチャンネルを表示し、各チャンネルではトラッキングされたトラックのセグメントが暗いバーで、トラックのキーフレーム位置が小さなダイアモンドで表示されます。

デフォルトでは、このビューはトラックをアルファベット順で表示しますが、ドープシートソートフィールド(Dopesheet Sort Field)オプションで以下の順序が指定可能です。

  • 名前(Name): 選択中のトラックをアルファベット順で名前を元にソートします。
  • 最長(Longest): 最も長くトラッキングされたセグメントの長さでソートします。
  • 合計(Total): 全体のフレーム数でトラックをソートします。
  • 誤差平均(Average Error): カメラやオブジェクトモーションのソルブ後のリプロジェクションエラーの平均によってソートします。
Channels Sort Order

また、ソート順方法オプションのとなりの反転(Invert) と呼ばれるオプションで、ソートを昇順から降順に変更できます。

平面トラッキング(Planar Tracking)

このリリースでのモーショントラッキングの最も大きな変更は、新機能の平面トラッカーです。この平面トラッカーはサブピクセル平面のリファインのため、旧トラッキングシステムをCeres Solver を利用し完全に書き直したものです。新しいトラッカーは新しいモーションモデルに対応し、もっと困難なシーンをトラック可能です。平面トラッキングは映像内に平面の表面が頻繁に現れるという事実を、これらの平面上の点にマーカーを付加することでうまく利用します。これにより、以降のフレームでのマーカーの変形の可能性について、より多くの情報を提供でき、このようなマーカーは部分的に隠れていてもトラッキングできます。また、この新トラッカーは映像中の部分的に影のかかったマーカーを処理するための照明の補正に対応しています。

マーカーの形状

マーカーのコーナーのスライドゾーンCorners slide zones of marker

パターンの形状と大きさの設定が別々に動作するようになり、平面トラッキングで必要な形状の定義のために各マーカーのコーナーを独立して変形できるようになりました。コーナーの位置はマウスでドラッグすることで編集できます。LMB Template-LMB.pngでドラッグすると各コーナーの位置を変更できます。ドラッグ中にCtrl を押した場合、コーナー一つだけではなくパターン全体がスケーリングされます。

同様のスケーリング動作は、S を二回押しても行え、これはスケーリングをパターンエリアのみに切り替えます(S 一回では従来通りマーカー全体がスケーリング)。また、パターンはRキーを使用して回転することもでき、使用中のピボットポイントに応じて、パターンが自身の中心で回転、もしくはマーカー全体がその中心点で回転します。

マーカーの透視投影の変形を平面に合わせるには、各コーナーを手動で編集しないといけません。

パターンの変形は平面・アフィントラッキングだけに役立つのではありません。パターン内のピクセルのみが考慮されることから、単純な位置のトラッキングでも、トラッキングするのにいいパターンを指定するのに役立ちます。

検索領域は回転できません。これは意図的な物です。検索領域の変形は意味がないからです。

トラッキング設定

マーカーのコーナードラッグゾーン

トラッキング設定(Tracking Settings)パネルがほぼ完全に変更されました。以前のトラッキングアルゴリズムに関するオプションは削除され、新しいオプションが追加されました。

まず、旧オプション、トラッカー(Tracker) は削除されました。従来の Hybrid トラッカーは、サブピクセルリファインメント付の力づくによる検索でサブピクセルの精度が高くなること以外は、完全に SAD トラッカーと同じ動作をしていました。また、SADトラッカーは8ビット画像でのみ動作が限られており、Mango で使用されていたような、32ビット浮動小数点数画像には不向きでした。

次に、KLT トラッカーとそのピラミッドトラッキングはブレた映像のトラッキングに便利でしたが、背景テクスチャが特徴点の方向と反対に動いていると全然役に立たないことがありました。このようなケースでは、Hybfid トラッカーは KLT より大幅に勝っているため、KLT トラッカーは廃止されました。ブレた映像のトラッキング用のオプションは後ほど Hybrid トラッカーに追加されるでしょう。

新しいトラッカーはオプションが増えた統合アルゴリズムで、具体的にはいくつかのオプションにより、従来の非平面の Hybrid トラッカーとぴったり同じ動作になります。オプションは以下のとおりです。

  • モーションモデル(Motion Model) は、トラッキングする特徴点が行う可能性のあるモーションを決めます。現在対応しているモデルは、位置(Location only)、位置/回転(Location+Rotation)、位置/拡大縮小(Location+Scale)、位置/回転/拡縮(Location+Rotation+Scale)、Affine(アフィン)、透視投影(Perspective)です。このオプションは特定の特徴点がどのモーションを行うのかによって設定すべきで、これによりそのモーションでのトラッキングが最も正確になります。透視投影(Perspective)は通常、平面の特徴点のトラッキングに使用されますが、大抵は Affine(アフィン)も充分な近似になり、もっと安定したトラッキングになることもあります。
  • プレパス(Prepass) は、2パストラッキングを有効にし、最初のパスでは位置のみを力づくでトラッキングし、二つめのパスではフルモーションモデルのトラッキングを使用して最初のパスをリファインします。以前のバージョンの Blender の Hybrid トラッカーとほぼ同様の挙動にするには、プレパスをONにし、モーションモデルを「位置(Location only)」に設定してください。
  • 正規化(Normalize) はトラッキング中、パターンが輝度の平均により正規化され、照明が変化しても変わらないようにします。これは例えば女優の影にマーカーが移動するようなシーンなどで便利です。従来、このような場合はトラッキングが不可能で、照明の中の変更を補正するためスケール順応がこのエリアを縮小し、トラックが失われていました。"正規化(Normalize)" を ON にすることで、この区域は正しくトラックされ、スケールも維持されます。
  • 相関関係(Correlation) は、すべてのトラッキング設定で一つの値となり、マッチしたパターンと参照の間で、トラッキング成功とみなす最小の相関関係を決めます。トラッカーが簡単にギブアップしてしまうような場合はこの値を減らし、トラッカーがもっと早くにギブアップすべきところでスリッピングしすぎてしまう場合はこの値を増やしてください。

下の動画は実行中の新しい平面トラッキングの様子です。最終バージョンではプレビューウィンドウは改善されており、動画内より高速に実行されることを付け加えておきます。この動画で使用されている映像は、Hollywood VFX platesの素晴らしいコレクションの中の物です。


小さな機能

グリースペンシル(Grease Pencil)

グリースペンシルがトラックデータブロックに添付できるようになり、各トラック毎に自分のグリースペンシルデータブロックを付けることができます。これはトラッキング中のマスキングのような機能に対応するために追加されたもので、パターン内のエリアがマスクできます。難しい特徴点のトラッキングを行う時、このようなマスキングは非常に便利です。

現在、グリースペンシルの表示がクリップもしくは関連するアクティブトラックで可能になりました(両方同時は不可)。

グリースペンシルオプション

クリップとトラックの切り替えがクリップエディターに追加されました。「トラック(Track)」に切り替えるとすぐさますべてのフェザーストロークがトラックデータブロックに追加され、このトラックに関連付けられます。つまり、もしトラックがそのフレーム前後で移動・トラッキングされていた場合、グリースペンシルのストロークはこのトラックに追従します。また、別々のトラックで同じグリースペンシルデータブロックを共有することもでき、特にマスキングでは一度マスクを描くだけで、同じ形状で特徴点をトラッキングするすべてのトラックで利用できて非常に便利です。

開始フレーム(Start Frame)とフレームのオフセット値(Frame Offset)

開始フレームオプション

開始フレーム(Start Frame)プロパティがすべてのムービークリップデータブロックに追加され、ムービークリップエディター内([N]キーパネル)の▼フッテージ設定(Footage Settings)パネルから使用できます。これはどのシーンフレーム番号からクリップが再生開始するかを示しています。

これはグローバル設定であり、クリップエディター自身やモーショントラッキングコンストレイント、コンポジターノードといった、クリップを使用する物すべてに影響します。

フレームのオフセット値(Frame Offset)オプションは映像自身に影響し、シーンフレームをファイル名内のフレーム番号に変換する時に、フレーム番号を加算するのに使用されるオフセットを設定するものです。このオプションはトラッキングデータやその他の関連データには影響しません。

このオプションは Blender のコンポジターでクリップを処理したり、オリジナルと同じフレーム範囲をレンダリングする必要のないクリップデータブロックを、新しくレンダリングしたクリップで置き換えるのを補助するために追加されました。ただし、例えば一つのシーンにソルブ/背景用に使用されるかもしれない複数の違うモーションや複数のクリップが含まれているようなケースでは、別の方法を使用したほうがいいでしょう。

三脚モーションソルビング(Tripod Motion Solving)

三脚モーションソルバーオプション

三脚モーション(Tripod Motion)は新しいソルバーオプションです。カメラが動かず、回転するだけの映像で利用できます。このような映像では一般的なソルバーのアプローチではトラッキングができず、情報が欠落しているため、実際の特徴点を決めることが不可能です。このソルバーは相対的なカメラの回転のみソルブし、その後すべての特徴点で、同じカメラとの距離で、特徴点を球に再投影します。

その他の機能

  • 外部アプリケーションからムービークリップエディターへの画像と動画ファイルのドラッグ&ドロップを追加 (r46198)
  • トランスフォームツール用のピボットポイントをムービークリップエディターに追加。対応するモード:中点(Median Point)、それぞれの原点( Individual Centers)、バウンディングボックスの中心(Boundbox Center)。
  • ムービークリップのマーカー用に投げ縄(Lasso)選択を追加。(r46622)
  • カレントフレームが欠けていた時、動画クリップのサイズでデフォルトグリッド画像を表示するように。(r46030)
  • クリップフレームの表示にテクスチャバッファを使用し、より高速に。(r46122)
  • 浮動小数点数画像のトラッキングとプロキシ生成のバグを修正。(r46453), (r46944))