Dev:JA/Ref/Release Notes/2.90/Cycles
元記事:Reference/Release Notes/2.90/Cycles - Blender Developer Wiki
目次
Blender 2.90: Cycles
CPU レンダリング
Intel Embree が CPU でのレイトレーシングに使用されるようになりました。これによりモーションブラーのあるシーンでのパフォーマンスが大幅に向上します。他のシーンでも、複雑な高解像度の形状がある時は、その内容に応じ、平均的に恩恵が得られます。
旧 | Embree | |
---|---|---|
Barbershop | 7:07 (2189MB) | 7:12 (2600MB) |
Victor | 11:27 (8012MB) | 8:51 (7060MB) |
Agent 327 (モーションブラー) | 54:15 (7987MB) | 5:00 (6778MB) |
BMW | 1:42 (142MB) | 1:48 (145MB) |
Classroom | 5:08 (289MB) | 4:57 (321MB) |
Fishy Cat | 2:37 (795MB) | 2:20 (558MB) |
Koro | 4:21 (523MB) | 3:17 (390MB) |
Pavillon | 5:30 (146MB) | 5:11 (156MB) |
GPU レンダリング
- OptiX に対応している全 NVIDIA GPU(Maxell 以上、GeForce 700, 800, 900, 1000シリーズ)で OptiX が利用可能になりました。
- CUDA と OptiX での NVLink 対応。Cycles のデバイス設定で有効化した時、複数の GPU が NVLink ブリッジでつながってメモリの共有を行い、大きなシーンでのレンダリングにも対応できるようになります。
- MacOS での NVIDIA GPU レンダリングが対応されなくなりました。Apple は macOS 10.14の CUDA ドライバーの対応を打ち切っており、最近の Apple ハードウェアでは NVIDIA のグラフィックカードを採用していません。
ヘアー
Embree への切り替えにより、ヘアーのカーブのレンダリングに違いがあります。GPU レンダリングが Embree に合うようにしました。現在、二つの形状が選択可能です。
- Rounded Ribbon(ラウンドリボン): ヘアーを(偽の)丸めた法線のフラットなリボンとして高速にレンダリングします。ヘアーのカーブはユーザーが指定した固定の分割数で細分化されます。これにより、特に Principled Hair(プリンシプルヘアー)BSDF を使用し、一般的な距離から見た時、比較的正確な結果が得られます。クローズアップすると、アーティファクトが出るかもしれません。
- 3D Curve(3Dカーブ): 3Dカーブとしてレンダリングします。ヘアーを近くから見る時に正確な結果になります。スムーズになるまでカーブは自動的に細分化されます。これにより、従来のどのプリミティブより高品質になりますが、パフォーマンスが犠牲になります。特に GPU 上では従来のプリミティブより遅くなります。
Sky(大気)テクスチャ
新しい Sky(大気)テクスチャは、Nishita シングルスキャッタリングスカイモデルの改良版です。これは高度の変更とオゾンの吸収を考慮します。
周辺減光効果による太陽の成分もあります。 It includes a sun component with limb darkening effect.
旧 Hosek/Wilkie(左)と新しい Nishita(右)スカイモデルを比べてみてください。
Sky(大気)テクスチャからの光は、時刻によって非常に明るくなったり暗くなったりします。Film(フィルム)パネルの Exposure(露出)プロパティを調整して補ってください。
デノイジング
Intel OpenImageDenoise に、3Dビューポートでのインタラクティブ・デノイジングと、最終レンダーで対応しました。これは最近(SSE 4.1対応)の Intel/AMD CPU で動作します。
従来、ビューポートデノイジングは OptiX を使用した NVIDIA GPU のみ対応しており、OpenImageDenoise による最終レンダーのデノイズは、コンポジターでのみ可能でした。
最終レンダーでのタイルデノイジングのパフォーマンスはまだ低いですが、最適化について調査する予定です。
影の終端
- オブジェクト毎の影の終端オフセット(Shadow Terminator Offset)設定。ローポリメッシュでのスムーズな法線によるアーティファクトを回避します。(c7280ce65b85)
変更
- 透視投影カメラ用の Depth(深度)レンダーパスが、OpenGL や Eevee、その他のレンダラーと合致した、よりスタンダードな物に変更されました。
- エラーメッセージがビューポートのステータスオーバーレイにも表示されるように(従来は「キャンセル」のみ表示)。
- デノイジングが全ビューレイヤー用に Render(レンダー)プロパティで有効化できるように(▼Sampling(サンプリング)→Denoising(デノイズ))。特定のレイヤーのみデノイジングを無効にするなど、今も設定はビューレイヤー毎に細かく調整可能です。