Dev:JA/Ref/Release Notes/4.20/eevee

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元記事:EEVEE - Blender Developer Documentation

Blender 4.2 LTS: EEVEE

EEVEE レンダーエンジンが書き直され、もっと深い部分の変更や、待望の制限の廃止、将来的な進化の促進が可能になりました。

旧バージョンからの移行

大半のシーンは自動的に同じ見た目を維持するよう調整されますが、手動で調整が必要ケースも一部あります。詳細は移行プロセスをご覧ください。

グローバルイルミネーション

EEVEE が BSDF 毎にスクリーンスペースレイトレーシングを使用するようになりました。もう BSDF 数に一切制限はなくなりました。

Blended(ブレンド)レンダーメソッドを使用するマテリアルは、背景に投影される代わりに、反射から削除されるようになりました。マニュアル(英文)をご覧ください。

ライト

1シーン内のライト数の制限がなくなりました。ただし、一度に表示可能なライトは4096個のみです。

  • ライトが屈折するサーフェスを通じて表示されるようになりました。新しい Transmission(伝播)の影響の係数が追加され、古いファイルでは0に設定されます。

  • ライトが Ray Visibility(レイの可視性)オプションに対応しました。

  • Glossy(光沢)ライティングがもうオブジェクトの後ろにリークしないように。

影が仮想シャドウマップを使用してレンダリングされるようになりました。これにより、最大解像度が大幅に増加、バイアスが削減、設定が単純化されました。

  • ライトの可視性がシャドウマップレイトレーシングを使用して計算されるようになり、それらしいソフトシャドウを影のジッターリングなしで提供できるようになりました。

  • シャドウマップのバイアスが削除され、自動的に計算されるように。影の終端の問題の対処方法は将来のリリースで計画されています。

  • コンタクトシャドウは、仮想シャドウマップに大半のケースで十分な精度があるため削除されました。

  • 影のクリッピングの開始値は削除され、自動設定で置き換えられました。

シェーディング

シェーディングモード

Material → Blend Mode(マテリアル→ブレンドモード)Material → Render Method(マテリアル→レンダーメソッド)で置き換えられました。Blended(ブレンド) は従来の Alpha Blend(アルファブレンド)に相当します。Material → Shadow Mode(マテリアル→影のモード)は、Object プロパティ→ Visibility → Ray Visibility → Shadow(オブジェクトプロパティ→可視性→レイの可視性→影)にオブジェクト単位で置き換えられました。

影用の Backface Culling(裏面を非表示)オプションと、Transparent Shadows(影を透過)オプションが、仮想シャドウマップのレンダリングのパフォーマンスインパクトを低減するために追加されました。

Dithered(ディザー)レンダーメソッドの影とサーフェスは、従来の Alpha Hashed(アルファハッシュ)と同じ挙動をします。かつての Alpha Clip(アルファクリップ)と同じ挙動を再現するには、マテリアルに Math(数式)ノードを追加し、Greater Than(大きい)モードに変更する必要があります。

Blended(ブレンド)マテリアルが、不透明ピクセルを正しい順序でレンダリングするように。

Screen-Space Refraction(スクリーンスペース屈折)オプションが Raytraced Transmission(レイトレース伝播)にリネーム、すべての伝播に関連する BSDF ノード(Translucent BSDF(半透明 BSDF)、Subsurface Scattering(サブサーフェススキャッタリング)、Refraction BSDF(屈折 BSDF)など)に影響します。

ディスプレイスメント

ディスプレイスメントが Displacement Only(ディスプレイスメントのみ)モードを除いて対応しました。「ディスプレイスメントのみ」は Displacement And Bump(ディスプレイスメントとバンプ)が代替となります。マニュアル(英文)をご覧ください。

Thickness(厚さ)

新しい Thickness(厚さ)出力が導入されました。これにより屈折やサブサーフェススキャッタリング、透過モデルの改善が可能です。一部マテリアルは同じ表示を維持するのに調整が必要になるでしょう。これは従来の Refraction Depth(屈折の深度)を置き換えます。(PR#120384)

サブサーフェススキャッタリング

新しいサブサーフェススキャッタリングの実装では、任意の範囲と任意の数の BSSRDF ノードにも対応しています。もうオブジェクト間でリークすることはなく、エネルギーのロスもありません。

サブサーフェスの透過は常に計算されるため、関連するオプションは削除されました。

Light Probes(ライトプローブ)

レンダーパネルのオプションは ライトプローブデータプロパティとワールドプロパティに分離されました。

Volume(ボリューム)ライトプローブ

新しい Volume(ボリューム)ライトプローブは、高解像度でのベイクの収束が高速になりました。

ベイクはオブジェクトレベルで行われ、ボリュームライトプローブのベイク後の編集や、他のファイルからのリンクが可能になりました。オプションで動的な背景ライティング用に、背景の可視性のベイクも可能です。

影のリークを減らす新しい排除アルゴリズムとフラッドフィルが導入されました。

ボリュームライトプローブはボリュームシェーディングに影響するようになりました。しかし、ボリュームライトプローブによるオブジェクトボリュームとワールドボリュームのキャプチャはまだです。

Sphere(球)ライトプローブ

Sphere(球)ライトプローブが、動的かつ移動時での更新が行われるようになりました。荒いサーフェス用のフィルターバージョンはファイアフライなしになりました。反射の見た目は、従来の EEVEE バージョンに比べ、あまり「ぼんやり」しないようになりました。

ボリューム

World(ワールド)ボリュームはクリッピング距離に制限されることがなくなり、太陽光とワールド背景を完全に遮ることがきるようになりました。古いファイルでは、Help(ヘルプ)メニューまたは World → Volume(ワールド→ボリューム)パネル内の変換オペレーターを使用することで変換可能です。(PR#114062)

  • ボリュームライティングはちらつきを回避するためディザリングされるようになりました。

  • EEVEE がワールドのない場合に深度範囲を自動的に最大化するように。

  • メッシュオブジェクトがボリュームとの交差を、レンダリングバウンディングボックスではなく正しく行うように。

  • 多数の小さいボリュームオブジェクトの評価を最適化。

ワールド

サンライトが自動的に HDRI ライティングから抽出されるように。マニュアル(英文)をご覧ください。

画像の安定性

従来存在していたノイズとアンチエイリアスの問題が、速度を考慮したテンポラルスーパーサンプリングが削減を手助けすることで、ビューポート画像の安定性が改善されました。

Clamp(制限)オプションが拡張され、輝点ノイズの抑制の手助けと、Cycles との親和性が向上しました。プロパティ自体は各レンダーで独立したままです。

モーションブラー

モーションブラーがカメラビューを通したビューポートで部分的に対応しました。

シャッターカーブに対応しました。

被写界深度

Depth of Field(被写界深度)が書き直しと最適化が行われ、Denoise Amount(デノイズの量)High Quality Slight Defocus(高品質(少しピンボケ))設定は常に ON になったので削除されました。

ユーザーインターフェイス

  • パネルとプロパティが Cycles の物に近づくよう調整しました。

  • ボリュームオブジェクトの Display As(表示方法)プロパティの Wire(ワイヤーフレーム)または Bounds(バウンド)が、Render(レンダー)ビューポートシェーディングモードでレンダリングされるように。(1f2b935146)(訳注:EEVEE-NEXTが従来どおりの挙動に戻ったという話です)

  • Cycles と EEVEE が Cast Shadow(影を生成)プロパティを共有するように。

シェーダーコンパイルのマルチスレッド化

Preferences → System → Memory & Limits(プリファレンス→システムタブ→メモリーと制限)の新しい Max Shader Compilation Subprocesses(最大シェーダーコンパイルサブプロセス数)オプションが追加、Windows と Linux にて複数のサブプロセスを使用し、シェーダーコンパイルをスピードアップできます。

プラットフォームの互換性

現在、最初のリリースにおいて期待通り動かないプラットフォームがあります。ハードウェアサポートの改善により、将来のアップデートで利用可能になる予定です。

  • Apple Intel iGPU でレイトレーシング有効時に赤いスポットが残る。[#122361]

  • Windows 環境で Intel HD 5000 シリーズの GPU がディザーマテリアルをレンダリングしない。[#122837]

  • Linux Mesa 環境で AMD RX 7000 シリーズが、モーションブラー有効時にレンダリング後にクラッシュする。[#124044]