Dev:JA/Ref/Release Notes/2.64/Cycles
Blender 2.64: Cycles
シーン読み込みの最適化
BVH 構築がマルチスレッド化されました。オブジェクト分割がすべての要素のソートではなく、ビニングを使用するようになり、アロケーションの回避、より強固なメモリのパック、いくつかの不必要な操作の回避を行うための小さな変更が行われました。これにより BVH 構築プロセスが非常に速くなり、シーンによってデュアルコアでは約5倍から10倍、8コアマシンでは約5倍から25倍になります。(r46023)
また、複数のインスタンスメッシュでのマルチスレッドの改良も行われ、同じメッシュ上ですべてが協力して行うのではなく、別々のメッシュで別々のスレッドが BVH を構築することができるようになりました。これは特にビューでの動的 BVH 構築で顕著で、大量のオブジェクトのある非常に複雑なシーンにおいて、8コアでは約2倍速く構築します。(r46328)
また、画像読み込みもマルチスレッド化されており、各スレッドが別々の画像を読み込むことができます。(r46328)
ノード
- オブジェクト情報(Object Info) ノードが追加され、オブジェクトの位置、オブジェクト/マテリアル、パスインデックス、そのオブジェクトのインスタンス固有の乱数値を出力します。これは複数のインスタンスに一つのマテリアルを割り当てている時、各インスタンスごとにオブジェクトインデックスを通じた手動によるコントロールや、オブジェクト位置を元に、もしくはランダムに複数のバリエーションをつけるのに便利です。(r46841)
- Particle Info ノードが追加され、パーティクルの寿命(Age)、寿命(Lifetime)、インデックス(Index)、速度(Velocity)、角速度(Angular velocity)、位置(Loation)、サイズ(Size)が、エミッター・オブジェクトインスタンスから出力されます。(r47616)
- Brick テクスチャノードが追加され、レンガを手続き的に生成できます。(r50384)
- 画像テクスチャ(Image Texture)ノードがブレンデッドボックスマッピングと連番画像に対応し、CPU レンダリング時の画像テクスチャ数制限が撤廃されました。(r47432), (r50384), (r50384)
- テクスチャ座標(Texture Coordinate)ノードがノーマルの出力に対応しました。オブジェクト空間のノーマルを出力し、トランスフォームされたオブジェクトと同じ状態になるため、テクスチャリングに便利です。(r46023)
- Light Falloff ノードが追加され、二次式(quadratic)/直線(linear)/一定(constant)の減衰と、光源近くの高い値を減らすスムージング係数(Smooth)があります。下記はノイズを減らす方法のドキュメント(英文)からのサンプルで、スムーズ値は1.0です。(r46399)
- ライトパス(Light Path)ノードがレイの長さ(Ray Length)を出力するようになり、最後のバウンスからのレイが来た距離を与えます。これは例えば吸収をシミュレートするのに利用できます。(r46200)
ノンプログレッシブ・インテグレータ
新しくノンプログレッシブ・インテグレータが追加されました。CPUでのみ動作し、AAサンプル数と、AAサンプルごとのディフューズ、グロッシー、透過、AO、メッシュライト、背景、ランプのサンプル数をコントロールできます。これはレンダリングノイズに対するパフォーマンスをチューニングするのに役立ち、直接光源が中心のレンダリング画像のノイズが減る傾向にあります。詳細はインテグレータードキュメント(英文)を参照してください。(r47825)
通常(F12)のレンダリングもタイル化され、レンダリング中のメモリの節約と、コンポジティング用にレンダリング結果をキャッシュするセーブバッファにも対応しました。これにより、若干レンダリングが高速化され、GPU で非常に大きな解像度でレンダリングできるようになり、画像全体を GPU メモリ内に入れる必要はなくなりました。(r50384)
レンダーレイヤー&パス
- 除外レイヤー(Exclude Layers) がレンダーレイヤー追加されました。シーンレイヤー(Scene layers:すべてのオブジェクトが直接または間接的にレンダリング画像に影響を及ぼす)は、すべてのレンダーレイヤー間で共有されますが、時々特定のレンダーレイヤーで、いくつかのオブジェクトの影響を除外できると便利なことがあります。このオプションはそれを可能にします。(r46023)
- モーションベクトル(motion vector)と UV パスに対応しました。(r46114)
- レンダーレイヤー毎のサンプルのコントロール、0にすると共通のシーン設定を使用します。(r46023)
その他
- 光沢フィルター(Filter Glossy) オプション:値を0.0より上にすると、ブラーバウンス後に光沢反射をぼかし、正確さを犠牲にしてノイズを軽減します。1.0が調整開始時に適した値です。下はコースティクスがある時とない時、コースティクスと光沢フィルター使用時のサンプルです。(r46023)
- パノラマ状魚眼カメラ(Panoramic fisheye cameras)が利用可能になりました。等立体角射影(equisolid)と等距離射影(equidistant)モードがあり、前者は現実の魚眼レンズの近似を行い、後者はフルドーム投影で便利です。(r46287)
- スポットランプ(Spot Lamps) に対応しました。(r47426)
- ボーダー(Border)レンダーがビューで動作するようになり、カメラビューの時、[F12]によるレンダリングと同じになります。境界部分の外側ではオブジェクトはソリッド描画モードで描画されます。(r47550)
- 新しいシェーディングモデル3.0の NVidia GPU(NVidia Geforce 600シリーズ)に対応しました。(r47133)